2014年9月に,広島電鉄駅前大橋線が高架で駅構内へ直接乗り入れる方針が盛り込まれた
「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針」が広島市により策定され,
およそ5年の長い期間にわたり駅ビルの建て替えを前提とした検討が進められてきましたが,
2019年3月15日,広島市・JR西日本・広島電鉄3者の共同記者会見により,広島駅ビルの建て替え計画についての詳細発表がありました。
広島駅の駅ビル「ASSE」を2020年春に閉館し,
2025年春ころの開業を目標に,20階建ての新しい駅ビルに建て替えられます。
新しい駅ビルには,現在の物販・飲食・駐車場に加え,新たにホテル・シネマコンプレックスといった機能が備えられます。
また,広島電鉄が駅ビルの2階へ高架で直接乗り入れる形となり,シームレスな乗り換えが可能になることで,広島駅と都心部の回遊性向上が期待されています。
広島駅ビルの建て替えについて,3月のプレスリリースが出された際に詳しくまとめています。
さて,当初のプレスリリースが出されてからおよそ半年が経過しましたが,いよいよ駅ビルの建て替えに向けた準備工事が始まることが分かりました。
このプレスリリースにはこれまで公表されていなかった情報も含まれているので,
その内容について先にご紹介します。
完成イメージ
広島駅ビル 建て替えプロジェクト
【建物概要】
着工予定 | 2020年4月 |
竣工予定 | 2025年3月末予定 |
建設主 | 西日本旅客鉄道・JR西日本不動産開発・中国SC開発・ ジェイアール西日本ホテル開発 |
施工 | 未定→広島駅南口ビル新築他工事特定建設工事共同企業体 (大林組・広成建設JV) |
階数 | 地上20階・地下1階 |
高さ | 約100m |
敷地面積 | 約14,000㎡ |
延床面積 | 約111,000㎡ |
容積率 | 約792% |
基本設計・監修
ジェイアール西日本コンサルタンツ・東畑建築事務所設計共同体
全体事業費
約600億円
赤文字の箇所が今回新たに判明した情報です。
大林組と広成建設のJVは,先行して実施された「広島駅改良工事」も担当しました。
また,基本設計に関してですが,
ジェイアール西日本コンサルタンツに加え東畑建築事務所が携わっていることが新たに分かりました。
広島市内においては,「広島市留学生会館」や「エディオンスタジアム広島」,「イオンモール広島祇園」等の設計にも携わっています。
そして総工費が約600億円であることも今回判明しています。
JR西日本も社運をかけてこのプロジェクトに取り組んでいることでしょう。
特に近年では,広島地区において新型車両227系「Red Wing(レッドウィング)」計276両を導入し,
それらの投資額はおよそ300億円程度と見積もられているほか,
広島駅改良工事に関連した商業施設「ekie」の開発にも数百億円を投じているものとみられます。
これらのことを勘案すると,
JR西日本は広島エリアに対し巨額の投資を行なっていることが自明ですね。
広島駅ビル建て替えの準備工事はホーム上屋根の撤去から
本題に入ります。
現在の駅ビル「ASSE」の閉館は来年3月に控えていますが,建て替え工事にあたり支障となる構造物の撤去工事が先行して始まります。
広島駅1番のりばのホーム屋根は広島駅ビルと構造を共にしています。このまま解体してしまうと代替がないことから,併せて仮設のホーム屋根が設けられます。
画像を何枚かご紹介します。
広島駅1番のりばです。この画像でいうと右手の屋根が撤去されます。
かつて南口入口改札があった辺りです。
広島駅は自由通路が整備されるまで,入口・出口の改札がそれぞれ分離して置かれており,昔の雰囲気を色濃く残していました。
この画像に大きく写っているトラス状の屋根が今回撤去されます。
もう少し奥へ進んでみます。
この付近はホーム上の空間が広く取られ,かつ化粧板で天井が覆われていますが,
この屋根は駅ビル本体の構造物となるため,撤去はなされず仮設屋根の整備のみ行われます。
最後に1番ホームから跨線橋を見上げてみました。
画像を見ても分かる通り,H鋼が1番ホーム側(南口側)に向かって飛び出しています。
先ほどのプレスリリース内に示された駅ビルの建築範囲には入っていませんでしたが,
駅ビルとしてではなく,駅と駅ビルの連絡口として一体的に接続されるのではないでしょうか・・・?
いよいよ本丸である広島駅ビルの建て替えに向けた足音が聞こえてきそうですが,
2025年春の開業を目指し大変貌を遂げます。
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